組合Q&A

国労はどのように結成されたのですか?

1945年(昭和20年)、戦争が終わると国鉄の全国各地の職場で「賃金引き上げ」「勤務時間の短縮」「好ましくない管理者の排除」などの要求を掲げ、従業員大会が開催され、労働組合の結成へと続いていきました。

しかし、これは職場ごとのバラバラの労働組合の結成でした。このバラバラの労働組合を早期に全国統一させることが重要であったため、1946年(昭和21年)に石川県の片山津において結成大会が開催され、国鉄労働組合総連合が結成されました。組合員数50万8656人で、国鉄労働者の96%が加入する大きな組織でした。そして1947年、伊豆長岡での大会で国鉄労働組合総連合を解散し、単一組合の国鉄労働組合として発足しました。

分割民営化以後は、どんな組合組織なんですか?

国労は、国民の財産である国鉄を守るために分割民営化に反対し、闘い続けてきましたが、1987年(昭和62年)、国鉄が分割民営化され、JRが発足しました。

分割民営化以降も国労は、会社ごとの組合ではなく、単一の労働組合として旅客会社や貨物会社はもとより、テレコム(ソフトバンクテレコム)や鉄道総研、鉄道システムなど多くの会社に組合員がおります。

国労名古屋地本には、JR東海の各職場、セントラル病院や関連会社のジェィアール東海バス、東海交通事業、そしてJR貨物の各職場に組合員がおります。

国労は、安全輸送や鉄道の公共性、労働条件の改善などの要求の他、平和の取り組みや年金問題や社会保障の充実なども求めて活動をしています。

労働者って何なのでしょうか?

私たちは、労働者だと言われています。さて、労働者って何なのでしょうか?

実際に私たちは、労働者だということをそんなに意識することは無いと思います。
しかし、私たちは、会社や商店を経営しているのではなく、農業や漁業に従事しているわけでもありません。

労働基準法9条では、『「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう』としています。
ですから私たちはJRやそれに関連する企業に使用されており、法律的にも労働者であるといえます。

労働者の権利って何ですか?

私たち労働者には、多くの権利があります。しかし、権利と言われてもどのようなものなのか、なかなかわかりません。

労働者の権利は、憲法27条【労働の権利・義務、労働条件の基準、児童酷使の禁止】で「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」「児童は、これを酷使してはならない」とし、憲法28条では【労働者の団結権・団体交渉権その他団体行動権】、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」としています。更には、労働基準法や労働組合法、労働関係調整法の労働三法で権利などが保障されています。

労働者は、一人一人では弱い存在です。これらの法律で団結すること、労働組合をつくったり、会社と交渉したり、ストライキなどで闘う権利が保障されています。

JR内にはいくつも労働組合がありますが?

今、日本には多くの労働組合が存在しています。そして、JRの内部にも多くの労働組合があり、運動方針などの違いによって分かれています。

その中で、どの組合を選ぶかは、個人の自由です。
自らの目で確かめ、労働組合を選択することは、労働者としては大切なことです。

「労働組合とは、労働者の労働条件向上や、共通の要求実現を目的に組織され、労働者なら、その人の性別、年令、学歴、思想、信条のいかんにかかわらず誰でも加入できます。しかし、使用者(資本家や当局)側に立つ人の加入は認められない」ということになっています。

労働組合が会社の言いなりになったり、会社の問題点を指摘することができないような状況を生まないために、使用者側立つ人に加入は認められないのです。

近年、「偽装」問題や食をはじめとした安全について大きな話題になりました。
「物言えば唇寒し」の状況がこの間、多くの企業の中に蔓延し、「偽装」問題や安全軽視の体質を生み、企業に経営を脅かすような状況になっています。

労働組合が健全に活動し、要求をきちんと出し、獲得するために様々な運動を行っていくことが企業の健全経営には重要です。

国労はどうして会社と対立しているのですか?会社の利益があがってこそ、社員が幸せになれるのではないですか。

労働者の利益を守るために、労働者の立場に立って主張し、奮闘することは、労働組合としては当然のことです。

日本では企業ごとに労働組合がつくられることが多く、その企業の業績などを前提に物事を考える見方がひろがっています。

近代の労働組合が生まれ、発展してきたヨーロッパでは、企業を横断する産業別の労働組合が主流となって、影響力を発揮しています。

ヨーロッパでは個別企業の業績を優先的に物事を考えるのではなく、その産別、国内の労働者の全体を視野に入れて、労働者の利益を守り、要求の前進をはかっています。

その結果、最低賃金や年次有給休暇など、企業の枠を超えて、労働者の権利が守られ、発展しています。

JRが国労を嫌うのはどうしてですか。

国労は「つくろう職場に労働運動を! ひろげよう闘いを 職場に、地域に、全国に!」をスローガンにかかげ、運動を取り組んできました。

職場からの運動として、1982年の第135回中央委員会では、労働者の命と健康を守る取り組みとして全国での「点検摘発闘争」を決定し、国労組合員に「点検・摘発ノート(赤手帳)」を配布し、当時の国鉄職場の問題点を洗い出しました。労働安全衛生法違反として25,337件の摘発を集約し、国鉄当局に改善を迫り、2,823件の改善がなされました。このように、国労は国鉄職員の圧倒的多数を有して、全国で職場から労働運動をとりくみ、要求を実現させてきました。

また、1960年代末に国鉄当局が展開したマル生運動(生産性向上運動)では、当時の公労委(公共企業体等労働委員会)が不当労働行為に対する勧告を発するなど、国鉄当局の不法行為が明らかになり、労働組合側の勝利で終わりました。

マル生運動の敗北があり、国労の影響力が強まるもとで、国鉄当局は不満を高めてゆきました。そして、国鉄の分割・民営化を通じて徹底した国労敵視、差別が横行しました。国鉄・JR各社の不当労働行為の事実は、全国の労働委員会で次々に明らかとなっています。

このような経過があり、国労への悪感情、嫌悪は、国鉄からJRへと続いています。

国労もそうですが、労働組合は労働者を守ってくれるのですか。

国労は、国鉄からJRに以降する際に、組合の所属を理由にしてJRに不採用となったいわゆるJR採用差別事件では、最後まで闘い、国から190億円を超える和解金を得て、終結に至っています。労働組合の原点である「一人はみんなのために、みんなは一人のために」という思いを最後まで貫きました。

労働組合は労働者のためにあり、その生活と権利を守るために闘う…このあたりまえのことが、何より大切であることを事実をもって証明したのが,国労の闘いでした。

国労に入った人たちの動機はなんですか。国労に入った若い人たちはどうしているのですか。

会社の批判につながることを怖れて、気楽に国労や労働組合の話ができないような雰囲気が職場につくられています。国鉄当時は、職場の中で組合の批判も同僚どうしで、公然と話され、職場集会などでも批判が出されていました。批判も含めて、個人の意見が出せる、国鉄にも組合に対しても意見を言う自由がありました。いまは、会社に「常に監視されている」雰囲気が生まれています。

「自分の時間は会社にうばわれたくない」「会社の意のままに従わせようとする」「まわりの友達は、髪を染めたり、おしゃれを楽しんでいるのに、普通のおしゃれさえ許さない」「国労の人と話をしただけで、監視される」……など、若いJR社員のなかには、JRが個人の考え方や行動を否定し、会社の意のままに操ろうとすることへの不満や反発の声が生まれています。

不平や不満にとどまらず、「会社の横暴を許さず、職場をかえよう」と訴える、国労の運動や主張に共感し、国労に若者が加入しています。

国労に加わった仲間たちは、「今のJRの職場は不満だらけ。もっと国労は増えてもおかしくない。国労の仲間を増やしたい」という想いを胸にいだいて、日々の仕事にはげんでいます。

会社の横暴におびえ、まわりの人を言動に気を配っていたときを思い起こし、国労の仲間に支えられ、一生懸命働き、会社に言うべきことは言う、労働者としてあたりまえのことに充実感を感じていると語っています。

自分たちが国労に加わったことをふりかえって、不平や不満、会社からの仕打ちをみると、もっと多くの人が国労に期待を寄せており、国労に加わっても不思議ではないと語っています。

国労綱領とはなんですか。他の組合にもあるんですか。

戦前の激しい弾圧に抗して闘った鉄道労働者の闘いの歴史を引き継ぎ、戦後、国労は結成されました。ストライキ権が奪われるという状況の下で、ひとり一人の組合員の決意にもとづき、その時々の政治的な課題、国民的な課題をかかげてストライキで闘いました。

この闘いの過程では、当局の攻撃のもと労働組合の分裂が繰り返し起きています。

国労綱領は、戦前から連なる労働者の闘いの歴史を引き継ぎ、未来を展望し、「労働者階級の団結した力」によって、労働者の生活と権利をまもり、その闘いを通じて労働者階級の解放をめざすことを表明しています。

労働者の生活と権利を守るために、国労という一つの組合のなかの団結にとどまらず、よりひろい労働者の団結をかかげ、それをめざし奮闘する決意を示したのが国労綱領であり、国労内では戦術上の意見の違いなどについて激しい議論があっても、国労綱領で一致し、それを拠り所にして国労の団結が支えられてきたといえます。

国労綱領は、国鉄労働組合の闘争の歴史を集約した到達点ともいえます。

国労は自分勝手にストライキを連発し、国民・利用者の反発をかったから、分割・民営化の時も、国民から支持されなかったのではないですか。

国鉄の時代には、国労は運賃値上げ反対で一貫して闘ってきました。それは、国鉄が東海道新幹線開業以降に赤字に転落し、赤字の原因が野放図な政府による路線の延長、新設にあり、国がつくった線路の建設費をすべて国鉄に背負わせることにあったからです。

さらに、その借金が膨れあがっていったのが真相です。JRの移行前の時点で、国鉄単体での経営の収支は黒字となっていました。

こうした赤字などの宣伝をはね返すために、署名などを取り組み、全国でふるさと線をまもれという運動も広がりました。取り組んだ署名は数千万筆を超えていました。国民のなかには、「国鉄職員が赤字をうんだ」というような宣伝に懐疑的であったり、批判的な意見が生まれていましたが、広範な声にはなりませんでした。

また、国労のストライキに対する批判に対して、国労は大会の議論を通じて、「正すべきは正す」という方針を決定しましたが、国民の批判、期待の声を受けとめることができず、結果として国民の中での信頼をひろげることができませんでした。

国労がかかげた、赤字の真の原因を明らかにし、国民の財産である国鉄の資産、線路を守るという訴えは、多くの国民の思いと重なるものであり、国民にこの国労の方針が正しく伝えきれなかったことが、国労への誹謗・中傷・誤解をゆるすこととなりました。

国労がめざしているものはなんですか。JRをどうみていますか。

私たちは、JRの職場の民主化、労働条件の改善をめざしています。

具体的には、JRに直接、改善を求めることとあわせて、地域住民・利用者のみなさんの声によりそって、鉄道の安全とサービスの向上をはかることと結合して、運動を進めることをめざしています。

これには鉄道は国民の足であり、職場の労働条件が劣悪であれば、鉄道の安全を脅かすという想いがあります。国労の闘いの歴史と教訓に学び、また、国民と利用者の不満や要望をうけとめ、労働組合がその実現をめざすことは、鉄道の安全とサービスを向上させることであり、あわせて鉄道に働く労働者の労働条件、権利が確立してこそ果たせるということに確信をもつからです。

JRの職場の民主化ということでは、JRの職場は「職場専制支配」とでもいう、上意下達、会社の命令に対する絶対服従という管理が行われています。

職場の民主化とは、職場の中でお互いが職制の上下に関わらず、まず、人間として尊重されること、そして経験の長短、年令の上下さらには管理者と一般職という違いを超えて、意見があれば表明する自由を保障する職場をめざしています。

これは、ルールのない勝手な状態を指しているのではありません。お互いの職分や立場をふまえて、仕事上の出来事、問題点に対して、意見を述べる自由、それを許す職場の気風を指しています。

今のJRのなかでは、何か、ものを言えば、個人の責任が問われたり、細かなマニュアルを絶対化し、責任だけを強調するような指導がまかり通っています。そうではなく、「仕事に対する意見を言う、言える」あるいは、「会社に対する意見」が、気兼ねなく言える職場をめざしています。

ルールに基づく自覚的な規律それが、その職場の良き慣習・慣行となれば、鉄道の安全を支える確かな土台となると考えています。

国鉄労働組合名古屋地方本部
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