名古屋地本について
国鉄からJRへ 国労名古屋地方本部の組織と運動
国労名古屋地方本部は、国鉄時代の国労組織の管轄は名古屋鉄道管理局と岐阜工事局・中部自動車局などでした。国鉄がJR7社に分割、民営化されたことにあわせて、組織を再編し、JR東海の東海鉄道事業本部・三重支店にあわせた組織に再編成しました。
これによって、国鉄時代の長野鉄道管理局(木曽地区)、静岡鉄道管理局(飯田線・豊橋地区)、天王寺管理局(紀勢線・亀山地区)が、新たに国労名古屋地方本部に編入としました。
分裂攻撃を乗り越えて、組織を維持
分割・民営化の過程では、苛烈な組織分裂攻撃があり、20万を超えていた組織人員は減少し、JR発足時には3万人余りとなり、名古屋地方本部も15000人を超えていた組織人員は800人余まで切り崩された。
マスコミなどを通じて連日のようにくり返される国鉄・国鉄職員への悪宣伝、それに同調する国民感情が創りだされ、国鉄職員の誰もが、将来への漠然とした不安、解雇におびえる毎日を過ごし、自殺者は100人を超えた。
まさに「去るも地獄、残るも地獄」という切迫感におそわれ、ある者は国鉄を去り、そして多くの人たちが国労の方針や運動に信頼を寄せながらも、国労から脱退していきました。
また、分割・民営化の前後では、国労から脱退し、新たな労働組合が結成されてゆきました。そして、20数年を経た今日では、JR東海には国労をはじめ、4っつの労働組合があります。
労使協調路線を拒み、労働者に依拠した運動を追求
JR発足後の国労は、JR内での差別に抗して、職場・地域から労働者の権利と暮らしを守る運動を繰り広げてきました。
JR東海発足直後から、ストライキで労働条件の改善などを会社に迫ってきました。少数組合となり、職場の不平や不満を大事にして、話し合いなどを通じて要求をねりあげ、その実現をめざし、様々な運動を取り組んできました。
国鉄時代、国鉄当局は分割・民営化の容認を迫り、攻撃に屈した他の労働組合は労使共同宣言を結び、自ら旗振り役を担ってゆきました。国鉄からJR東海に変わり、新たに労使共同宣言を結び、労使協調路線をより鮮明にし、今日に至っています。
全国の地方労働委員会がJRを断罪
JR東海が発足し、国労は組織の再編により各JR旅客会社に対応する機関として、国労東海本部を設け、JR東海に国労としての足場を確保してゆきました。
JR東海発足後も国労への差別・弾圧は続き、遠隔地への不当配転、強制的な出向、異職種への配転、「事業管理所」と称した鉄道本来の業務からの国労組合員などの切り離し・隔離の政策が、次々と行われました。
全国でも同様の国労への差別・弾圧が行われ、全国各地から反撃のたたかいが取り組まれました。
各地の地方労働委員会に救済を申し立て、JR各社の不当労働行為を断罪する救済命令は130件(199事件)となり、救済対象者は14,239名を数えた。世界でも例を見ない闘争として、歴史に刻まれる闘いとなりました。
その後、これらの事件をめぐっては、JR各社と和解が進み、原状回復がはかられました。
JRへの不採用をめぐって不屈に闘い、勝利的和解で終結
また、JR発足から3年目に労働組合の所属を理由にして、JRへの採用を拒まれ、清算事業団から解雇された1047人が闘いに起ち上がりました。
国労は、解雇された国労組合員で全国各地に38の闘争団を組織し、地方労働委員会に救済を申し立て、国鉄に採用されたものとして扱うとする救済命令を勝ちとりました。 全国でJRへの不採用をめぐって17件の救済命令が発せられました。その後、中央労働委員会も、国鉄からJRへの採用をめぐって国労組合員への不当労働行為があったことを認め、救済命令を発しました。
JR各社はこれを不服として裁判所に救済命令の取り消しを提起し、2003年12月、最高裁は不当労働行為を認めながらも、国鉄とJRの法人格の違いからJRは使用者にあたらず、不当労働行為があったとすれば、国鉄がその責任を負うする判決を、3対2の僅差の評決で決定しました。
その後、JRへの不採用にかかわる判決のなかで、不当労働行為があったことを東京高裁が認めました。不当労働行為の事実がありながら、誰もその責任をとらないというこの事態を許さない…という立場で解決を迫り、2010年6月28日、最高裁を仲介に、政府案にもとづく和解を受諾しました。
そして、翌2011年に残された雇用問題が実現しませんでしたが、7月に開かれた第80回国労定期全国大会において、JR不採用問題の終結を決定しました。
利用者の要望と結び、鉄道の安全とサービスの向上、労働条件の改善を
国労名古屋地方本部は、JR発足後の不当配転などの攻撃と闘い、JR不採用問題の解決に向けて運動を積み重ねてきました。あわせて、国鉄からJRに移行したもとで、全国につながる鉄道網を維持し、地方の鉄道やバス(国鉄)を守る運動を取り組んできました。
近年は、東海地区(愛知・岐阜・三重・長野(木曽・飯田地区)で他団体と協力し、利用者アンケートを取り組み、鉄道の安全とサービスの向上をめざしています。このアンケートに寄せられた意見や要望が実現しています。
JR東海内では、これまで職場からのねばり強い取り組み、運動の結果、就業規則を改めさせたり、社内の制度も改善させてきています。
JR各社は労働者の権利を抑圧し、命令に絶対服従を強いる上意下達の職場の専制的な支配を進めてきています。国労は、これに抗して労働者の権利を職場から確立することをめざし、安全やサービスの向上とあわせて労働条件の改善をはかっています。
駅のホームに駅員がいないために、転落事故などへの不安を乗客は感じています。具体的には、駅やホームへの保安要員としての駅員などの配置すること、駅の無人化では、ばく大な利益をあげるJR東海が、鉄道としてふさわしいダイヤ・駅とするよう求めています。